...小話...


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石炭

年上キラーチョッパー
 
「もっといっぱいの石炭を釜に入れるんら!」 
「ふ、っふぁいっ!」 
お腹が一杯になったら早速ルフィは外に登った。ゾロは酒瓶だけ抱えて車内に入ろうとしてナミに殴られて大袋の残りを持ち込んだ。 
俺もお腹に慌てて詰め込んでまだ口の中に飲み込めない。 
 
「ほら急ぐんらよ!」 
「は・・はいっ!」 
 
貯めた蒸気と追加する石炭でこの列車が走るそうだ。 
ドラムの暖炉とは比べ物にならないほど熱いし大きいけど、どこか似てる。 
薪のはぜる音。石炭の吹き出す音。 
心の中でだけでもうっとりと浸っていたくなる。 
「手を休ませるんらないっ!」 
 
年上の女性の怒号と炎が身体に与える熱のチリチリ感。 
 
 
 
 
(元気かな・・・?けどこんな時にこんな事思ってるって聞いたらきっとドクトリーヌは「後ろを向くんじゃないよっ!」って怒るよなぁ・・・) 
 
 
車体に後ろから来た衝撃に思わず手が空のスコップを振り回してしまった。 
「なんだぁ?」 
「後ろを向くんらないよっっさっさと釜を閉めるんら!」 
「・・・・・・・・・・・・はいっ!」 
 
 
線路を掴んだ衝撃も笑ってやり過ごして、向かうは大雪じゃなく大波。

>> DATE :: 2005/05/17 Tue


転寝

ゾロナミ
 
風がなければ船は止まる。こんなに良い天気なのに。甲板の連中も釣りをしても作業をしても閑そう。今日の新聞は三度も目を通したし、部屋の本ももう半分は暗記してる。この良い天気じゃ海図を書く気にもならないしサンジ君に入れて貰ったソーダの氷も溶けてしまった。 
 
お気に入りのデッキチェアから身を起こすとナミは転がっていたサンダルを引っかけて起こして素足を通した。 
えいっと伸びをして立ち上がって見ると蜜柑の木の下に緑が寝てる。珍しく刀は脇に置いて。横に長く伸びた先に分厚い黒靴が見える。 
 
「転寝ってこの事ね。」 
 
聞かせるつもりもなく呟いた。 
この状態ならぐっすり寝ているだろう聞こえるはずもない男は微動だにしない。睨んでも。咳払いしてやっても。 
 
このあたしがこんなに暇なのにこいつってば一人で勝手にずいぶんと気持ち良さそうじゃないの。この頭、思い切り蹴っ飛ばしてやろうかしら? 
 
近くに歩みよっても背を向けたまま。 
しゃくに障る奴。 
「?」 
ゾロの手がゆっくりと持ち上がった。 
「??」 
背中越しに座れとでも言いたげな動きで手を振ってる。 
「???」 
 
何だろうと素直に思ってしまいしゃがみ込んでみるとやおらゾロが起きあがった。 
「な・・?」 
そのままナミの両手を腰に回して押さえ込み頭で太股の辺りを下に押しつけた。 
「なにすん・・・!!」 
あっという間もなくナミを膝枕として抱え込んだゾロがうつぶせから顔を逸らして、そしてまた高いびきをかいてる。 
 
「ちょっと!」 
真っ赤になってわなわな震えたナミがその頭を押しのけようとしても鋼のような首筋は全く動かない。 
「あんたねぇ!」 
「暇なんだろ?」 
「こんな事する暇なんて無いわよ。」 
言うだけ言って狸寝入りを決め込んだゾロの手は緩まない。 
 
 
「もう・・・」 
殴ってやろうと作った拳は空中でその結びを解いた。そのゆるみを受けてゾロの腕の力も眼を閉じる力も緩んでいく。 
 
日差しを受けた風がゆっくり通りすぎる。 
日の光の下で揺れるゾロの髪の色が微妙に変化してる。耳の形のラインとか、そこに付いてる産毛も光ってる。 
 
「ま、いっか。」 
転寝の手伝いもこれはこれで趣が深い。 
 
 
 
 
<独言> 
転寝でごろねとは漢字も奥が深い 。

>> DATE :: 2005/05/16 Mon


プチチョパ日記「治療法」

びょりさんへ見舞い返し
 
ナミが風邪をひいた。 
周囲に島はなく、ナミが居なければ先行きは非常に不安だ。 
出てくる海王類は全く問題ないどころかむしろ食料として歓迎されるが天候に勝てるのは天候の魔女だけだ。 
 
 
「ナミ?」 
船医の本領発揮の場だ。軽い診察をしてほっと安心した顔をしている。 
「熱は?38度位か・・まだ頑張れるなら解熱剤は我慢した方が良いぞ。じゃぁ咳と痰の薬。鼻水は?」 
ナミは首を横に振る。 
「風邪だよ。暖かくして寝てて、汗をかけば熱も下がるよ。」 
ナミは微笑んだ。 
『お大事に』と睡眠の邪魔をしないように部屋を出て行った。 
 
 
「ナミさん?」 
トレイに載った大きめの椀とどろどろの液体。 
「風邪だって?食べなきゃなおんないからね。はい、バナナに卵蜂蜜長ネギ玉葱!」 
熱もあり、声も出ない状態のナミは普段なら「いやよ」の一言で片づけるところをサンジの微笑みを前に我慢して飲んだ。 
「食べたら寝てくれよな。」 
ナミは微笑んだ。 
 
「ナミ?」 
見舞いに来たルフィはナミの回りで転がっていたがサンジが餌で釣って外に連れ出した。 
「ゆっくりしろよ」 
ナミは微笑んだ。 
 
「おい、ナミ。」 
ゾロが部屋に行った後なかなか出てこなかった。 
 
「おいゾロ?ナミは寝かせてあげないと駄目だぞ!」 
「ああ。判ってる。ちっとばかし太い注射打って来ただけだ。」 
 
 
そして。 
ゾロが出た後は急に部屋は静かになった。 
 
 
 
次の日も晴天。ナミの回復は速かった。 
「アレが一番効いた気がするわね。」

>> DATE :: 2005/05/16 Mon


栗の歌

サン&チョパ
 
俺の島、ドラムにはこの実はなかった。もの凄く嬉しそうなサンジの鼻歌がやけに耳障り。 
「なんだ?そのトゲトゲ。 
さっきの島でお前すっごく嬉しそうに拾ってたよな。」 
「ああん??けど栗拾いは面白かったろ?・・そういやお前は鼻を指された瞬間逃げたんだっけか。」 
「俺は逃げたわけじゃねーよ。」 
チョッパーは青い鼻の周囲をうっすら赤く染めてそっぽを向く。不快を感じながらも何となくサンジの手の中で向かれる渋皮が、その中身が気になるらしい。 
「そうだなぁ。幾重にも重ねた棘の外套、その中に褐色のこれまたがっちり防御の堅いドレスを着てて、更に隠された色気のない色彩と固さの下着もそっと外すと・・・。その中には甘くてほっこりと麗しい、実にいいモンが隠れてる。これってもんの凄くいい女とおんなじと思わねぇか?」 
にやにや笑うサンジの例えがぶっ飛びすぎてて想像できない 頷けない。 
「お前・・そういう事言ってて恥ずかしくない?」 
「まぁ喰ってから言いやがれ。お前ももっと喰わせてくれって頭下げるぞ」 
 
 
夕食の時俺は、角も頭も帽子も下げた。 
「俺の栗ご飯は美味ぇだろ?」 
「おかわり。」

>> DATE :: 2005/05/16 Mon


健康の為吸いすぎに注意しましょう

チョパ日記2005,1,17
 
「サンジ!煙草の吸いすぎには注意だぞ!肺が真っ黒になって!咳が酷くなって!全身麻酔の時なんか悲惨だぞ!」 
「るせぇ、ほっとけ。」 
「判った!お前の手術は麻酔無しでやってやる!」 
待て、そりゃ直伝だろ?あの婆さん麻酔なんか使わなかったじゃねぇか。 
 
 
 
「ん・・スモーカーさん・・・・・・・お願いですから・・・・・部屋の中では・・・・吸い過ぎないで・・くださいよぅ・・・・あ・・・・。」 
「るせぇ。俺のペースだ。」 
吸っただけ能力の上がるスモーカー大佐。 
私室での吸い過ぎは控えましょう。 
 
 
 
 
「あのね・・チョッパー・・昨日の夜から耳が聞こえにくいの。」 
「ナミ?判った。診てやるよ。一体何やったんだ?」 
「んーーとね・・・・・・・・・・・・ゾロと・・・・・」 
「・・・・・・・あれほど吸いすぎには注意しろって言ってるじゃんか!」 
吸いすぎて鼓膜が破れる事もあります。 

>> DATE :: 2005/05/16 Mon




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