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空と海の狭間で-7


班に分かれて初対面同士がもぞもぞしているが、数人が名乗りあって話し始めるとそれは他にも伝播した。数人いれば一人は積極的な子がいる物だ。後が話題の糸口に困っても名前くらいは名乗りあう。困っているところにはスタッフの人が声を掛けて自然に話が出来るように気を配ってる。
おかげで狭い待合室は益々ざわざわしている。

「すみません。実は荷物は積んでますしそろそろ出発時刻なんですが・・・・・一人到着が遅れていましてその、連絡も付かない状態で・・」

先生の言い訳的な説明の途中でバスの駐車場の方に低い重低音が響き始めて皆がそちらを向いた。大型バイクのエンジン音が港に鳴り響けとばかりにけたたましく響いて、突然のその大きさに皆が目を白黒する。


「悪ぃーーーーーーーーーー!!!!遅れたっ!」


一人黒髪の少年がバイクから飛び降りるように荷物ごと走ってきた。爆音バイクは見た目も期待を裏切らない派手さで目がチカチカした。
「サンキュー赤っ鼻!」
「おう感謝しろぃって誰が赤っ鼻だぁ〜〜〜〜〜!」



「よろしくなっ!」
「えっとモンキー・D・ルフィ君ね。貴方で最後よ?あの方は?」
先生が確認する。遅刻者は二つ以上向こうの駅から見知らぬ人の運転するバイクで贈って貰ったという。
「すんげー面白かった!」
「・・・」



待ちくたびれたナミが情報としての興味はあるが、やばそうな気配に関わるまいと決意してる横にビビがお手洗いから帰ってきた。
「何か凄い音だったわね。バイクの音みたいな・・。」
ナミは親指一つで自分の肩越しに入口指さした。あまり行儀は褒められないポーズだがナミには似合ってる。指先の一件を口に出すのもいやだったらしい。
「あ、最後の人来たの? 良かったこれで行ける〜〜・・・・・ん?」
「あれーーーー?」
「あーーーーーー!」
ビビとその黒髪はいきなり相手を指さしあった。
「さっきのブス!?によく似てんなお前。」
「貴方なんか知らないわ!!けど貴方ここに来るんなら私たちと同じ駅でなんで降りなかったの!?」
「うん、お前の方がずっとおもしれーな。いやーー参ったぜ。電車で遊んでたら降りる駅間違えたんだ」

シシシと笑う顔には反省の色も無し。しかもとんでもない台詞をさらっと吐いてる気がする。けどビビには聞こえてないのかな?カンカンに怒った顔。いきなりの盛り上がりに周囲とも何処を突っ込んで良いのか声を掛けて良いのか困惑してる。

「知り合い?」
栞片手にさっきから待ってたスタッフの先生がとりあえず口火を切った。
「いいえ!全然っ!」
「助かったわーー丁度貴方の班の人よ。よろしくしてあげてね。」
見事にビビの意見はスルーされた。
「ええええーーーーーーーーーー!!?」



ナミ達は5つの班のうち最大だった。
合計6人。男子4人女子2人。
小さな班は4人の所もある。5人班が3つ。
一番の大所帯。名前だけは名乗りあった。
ルフィと、ナミと、ビビと、ゾロと、サンジと、ウソップ。
6人





先生は賑やかすぎる待合室で声を張り上げた
「ようやく船に乗りますよ!班の話合いはまとまった?基本的にはこの班毎に動いて貰います。船を下りるまでに役割分担とリーダーさんをを決めておいてね。」

船内でもこいつらとつるめって?
「そう言う面倒なことはさっきにいっといてほしいわ。馬鹿が参加する前に!」
ナミの呟きを物ともせずルフィは立ち上がった。
「おう、俺ルフィ!んでこの斑のキャプテンだ!」

いきなりの暴言とも言えるセリフにナミは真っ向から受けて立つ。
「待ちなさいよえっとルフィ?遅刻した奴にとやかく言われたくないわ。だいたい普通こういう事を決めるのは話し合いでしょ。あんたよりもしっかりした人の方が良いんじゃないの?」
「お前、船長やりたいのか?だめだ。俺がやるぞ!」
ナミの正論を前に、揉めるも何も一人がリーダーをひたすら強く希望すれば他に希望者が居るわけではなかった。水が高きから流れるように他の誰の否定もなく決定する。
「じゃ、俺はナミさんとビビちゃんのお世話係でいいよ〜」
「阿呆か?」
ゾロとサンジと二人の間の空気が剣呑となるが誰もが知らないフリをする。
初めから微妙なモード。班の空気は結構いいとはいえない。



「係だけでも決めちゃいましょう。後はくじ引きでも良いかしら?私、紙持ってますから。」
「リーダーってのは形だけだからその外がしっかりしないとね!」
サンジの独り言はゾロの突っ込み以外流されて、建設的なビビの提案に手早くナミが紙をバラバラにして字を書き込んだ。
食事の係に掃除係。それから・・。
「あのさーーうちにはリーダーのお守り係ってのが・・・いると思うんだけど」
「いえる。絶対に。」
さらさらとナミがその名を紙に書き込んだ。
「みんな引いた?じゃ、それで決定ね。」
食事がビビとナミで、清掃がウソップとサンジ。ゾロには保健係とこの班では一番重要な・・ルフィのお目付役が当たっていた。
「これってどうすりゃいいんだ?」
紙を手でクルクル回してゾロはナミに尋ねた。
「簡単よ。あのルフィから目を離さなきゃ良いの」
「ほぉー。まぁガキの子守は慣れちゃいるがな」
ゾロって単純なの?馬鹿なの?迷子以外はちょっと判別不能。

「けどお前の方がむいてないか?」
え?
「煩せぇし、やかましいし、人のことばっかり見て怒ってばっかいるし」
「やかましい!!」

我慢とか遠慮とかは一瞬忘れた。手を出さなかっただけ褒めて欲しいくらい。
アンタとかが目が離せないようなことしかしないからじゃない!!!!!



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