06




「ナミさん?また遅くまで。」
「ん、ありがとっ!丁度何か飲みたかったの。ああ、おいしっ」
湯気の立つハーブティはおそらくサンジ君特製の安眠系。以前に美肌用にと揃えてくれたのが美味しかったのを今も同じような香りを出せる辺りが凄いしありがたい。図書室まで持ってきてくれる辺りも。
「海図?」
「その前のね、メモみたいなもんよ。いつやっても良いんだけど気になっちゃって。」
「あんまり根を詰めないようにね。ここんとこずっとじゃないかな?寝られないの?」
「大丈夫よ。」
心配そうな笑顔ににっこり微笑んで手を振る。これで彼には判るはず。
ちょっと困ったような、けど仕方がないという笑みを浮かべてサンジ君は背筋の整ったすっと綺麗なお辞儀のあとゆっくりとそのまま後に三歩下がってから振り向いて出て行った。

寝られない訳じゃない。
今は一波乱終わった後で仲間が増えて素敵な音楽が聴けるようになったし、船の食料もお宝もぎっちりなんて今までになく順調なわけだし。いつもみんなで笑ってる。
不満なんてあるわけ無い。

無いって言いたい。
風呂場に放置した馬鹿のことはもう考えてやらない。





◎泣く一歩手前の顔をしてる



今思えば。最近のお前はいつもそうだった。
思い出すのは最後に見ていた涙に歪んだ顔ばかり。
ただお前が欲しいと、何故あの時言ってやれなかったんだろう。


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