from the MOVIE " STRONG WORLD "



【 after three minutes 】



久しぶりに部屋を出た。
騒いでダイアルを奪い合ってバカみたいで恥ずかしいような照れくさいような気持ち。

甲板で少し皆から離れて一息ついた。

直接感じる風が肌にくすぐったい。
ああ高気圧が吹き下ろしてくる。
当分サイクロンも嵐も縁がなさそう。


足元に絡んで吹き上げてきた風が心地よく乱れてしまった髪をなぶる。
空気がとっても澄んでることも肌にしみてくる。
太陽の日差しは澄んだ空気の合間を優しく照らしてる。
ああ体は軽くなった。



甲板の隅でこの昼間っから隠しもしない欠伸が聞こえる。日だまりはさぞ眠りやすかろう。光合成さえ生まれそうだ。
ぽかぽかと音まで聞こえそう。
ふと、口が動いてた。
「ゾロ」
ん?ともうやる気なんて全然ない、いつもの緩ーいあいつが声だけ振り返る。
「好きよ」





シャツの自分には長い袖をつまんでひらひらとさせる。
「んな!?」
いきなり支えにして寝ようとしてた肘から頭が落ちてる。
あーあ。
あいつの状態なんてかまいやしない。不意打ち食らって顎が落ちてるし体も開いちゃって今なら誰でも一本とれちゃうみたい。
予想もしなかったでしょ。だってアタシだって計算外。ただただ言いたくなったんだもん。

風が笑ってる。
服の裾を揺らして。
前ボタンの大きな白いシャツが風をはらんで膨らんでゆく。









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