初めに
こちらに隠れていた話は3章と4章の間の一コマかもしれません。
しかぁし
ややあだるてぃーな世界が書かれておりますので、性描写が苦手、カップリングのこだわりが強すぎる、年齢が低い方はこの先へ行かない方がよろしいです。
感想もここの物に限ってはメールでお願いしたいと存じます。
内緒ですからね。(笑)
覚悟はよろしい?
『闇の月』
「やっぱりお前…柔らけえな。」
耳元で囁くような声がする。
くくくくく……。髪に顔を埋め匂いを堪能する。
座ったまま両手を後ろからまわし肩を抱きしめている。
「すっげぇ気持ちいい。」
この一夜に何度交わったのだろう。意識も記憶も世界も過去も全て遠くに行ってしまった。
私に残ったのは……この快楽。堕ちていく感覚。それでもこんなに嬉しいなんて。
まさぐられる胸から伝わる快感。
肩に吸い付く唇が触れる自分の肌の感覚。
胸よりも脳内に吸い込む男の香り。
吸われている舌もどちらのものだかわからないくらいに溶け合っている。
くちゅ・・と音が聞こえて。息使いは荒くなったり絶え入りそうになったりを繰り返して堕ちていく。
噛みつかれた指や、首筋の痛みが快感を深めていく。
倉庫の戸の外に人の気配がして、ドアノブがゆっくりまわる。
「きたか……」
「……ルフィ……まさか…」
ビビの瞳孔は闇の中で大きく開いて黒目が大きくなっている。その中に映ったのは…
ホンの数日前に愛され愛し肌を合わせた男だった。震えが全身に走る。
夜の闇の中よりも部屋の中は更に暗い。
中の獣の気配にサンジは慣れない目を絞り、あわせていく。
「ああ、俺が呼んだんだ。よお。」
「ルフィ?……お前!一体…。」
眼前の光景は見たくなかった。きびすを返そうと身体に力が入る。
「行くな!」
自分の知っている女が知らない顔で男に抱えられている。
あんなに物憂げで、焦点の合わない瞳。吐息のこぼれそうな唇だけが紅に染まっているのが闇の中でも見えた。
露わになった胸。先の突起までとがっている。真っ白なきめ細かい肌には染み一つないことも知っている。首からお腹までの曲線が綺麗なままで・・身体にかかる水色の髪がしなやかに艶を放っている。いつもきちんと結われた髪は全て解け、身体に流れている。その乱れ方が何とも淫靡だ。
「入って来いよ。」
逃れられない声。女は顎から全身を固定されて顔を背けることもできない。
「ほら、綺麗だろう?」
「ルフィ・・やめて。」
ビビはやっと意識が現実と結びついたようにほんのりと瞳に意志が蘇る。
サンジは更に目が慣れてきた。
慣れた目は一糸纏わぬ姿のまま一部でつながった二人を見つけてしまった。
後ろから抱きかかえビビの両肩から下がっていたルフィの手が下の方に降りてきて、女の膝を割る。
抗う女の手も鍛えた腕の力には何の役にも立たない。
中がはっきり見えた。
まだ男に慣れない薄桃色のそこは紅を含みそのまま大きくなった男の黒いモノを受け入れている。吸い寄せられた目にはその痙攣具合まで見えてしまう。中から溢れた粘液が闇の中でも黒く光ってつたって垂れ落ちている。羞恥に全身を染めて、捩る身体の微妙な動きがなおさら欲望を誘う。
理性が意識に追いつかず、言葉が口から出てこない。口の中がカラカラで。
「来いよ。」コイヨ……ナニヲイッテイル?
「見せたくて呼んだんじゃない。こんなに良いものお前先に喰ったんだよな。けど…独り占めするよりこっちの方がいいや。………来いよ。」
部屋に籠もったすえた匂いに混じった香木の香りがする。香水の国の王族は幼い頃から香木を摂取して身体から香りが立ち上るようにする習慣があると言っていた。その香りはまさしく秘め事の時に功を奏する。“キャラ”と呼ばれる世界でも珍重なその香りをサンジは知っていた。人の理性を奪う香りだと聞いたことがある。聞くより身体がその成果を受けていた。
「来い。」
もう抗えない。だって見てしまった。ルフィに抱かれた君の裸体がそんなに美しいことを。
男の欲望をそそる堕ちた女神。
抱いている男の存在もその精液にまみれた身体も顔も今の自分には歯止めにならない。そのまま歩みを進めてしまう。毒にココロもカラダも侵されていく。
「あっ…いや。やめないで。」
ビビの身体がいきなり抜かれて空虚になる。ぽんと放り出されて中のうずきを隠せないまま地べたに座り込んだ形でルフィの方を向いた。疼きが呼びだすもの欲しさで肌が微妙に痙攣している。乾いた唇をなめる舌使いはいつの間に覚えた物なのか。
「見たいんだ。サンジに入れられて喜ぶお前を。」
「入れて……」
どちらの男に言うでもない表情はこの女が言うとこうも高貴さを失わず更に淫靡に聞こえるのだろうか。
しゅるっとネクタイを緩める音がする。目の前の笑うルフィは猛ったままで、勢いを失っていない。
サンジは後ろから目の前の獲物を抱きかかえる。この女の肌は冷たく中の熱との差が激しい。しってしまうとそれもまた欲情に薪をくべていく。その冷たさもまた。
そのまま貫き…………。
目覚めて気付いたのは下着の中に己の精を放ってしまった事だった。
ガキの頃一、二度あったきりの夢精。そして全身の冷や汗。
体中に包帯が巻かれ、男部屋に持ち込まれた簡易ベットに寝ていたのだと気が付く。
一服盛られたのだろう、痛みはさほどではない。
そっと起き出し下着を開けて手持ちのタオルで局所を拭く。変えなきゃならない下着よりも気休めの一服が無性に欲しかった。
現実と夢の記憶が混乱している。
小さな窓の側で紫煙を吐いて、気が付けばルフィはこの部屋にいなかった。