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「どうだ?会心の出来だぜ。」 ウソップのスケッチは鮮やかな茜色。昨日の綺麗な夕焼けの中のサニー号の甲板。 方々に小さい全員が描かれていて、自分のシルエットも隅に描かれていた。 そして。 手前には、それを見て笑っている女が二人。彼らを眺める同じ色をした横顔。蜜柑の色した髪が同じ色に燃えている。笑顔で、どこか寂しそうで、郷愁と優しさを浮かべる瞳が本人のように切り取られていた。 手を伸ばしてしまいそうに切なく見事な夕映え色。 今でも。俺の瞼の裏に。鮮やかに。 |
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◎ラスト・チャンス 日の差さないここにいても。 今すぐにでも。 俺の瞼の裏に。より一層鮮やかに甦る。 やり残しなんて性に合わねェ 俺は帰る。絶対に帰る。 |
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