09



夢を見た。
朝、生理現象が起こった。
「今日の洗濯当番お前な。」
男共の洗濯当番は適当に順番。
「ああん?・・・・・」
「だろ。」
ウソップの突っ込みが冷静だから怒りも沸いてこない。だからといって聞く気がしない。洗濯物を前に動かないでいるとルフィがすかさず声をかけてきた。
「ゾロー溜まってんならナミに抜いて貰ってこいよ。そーだ!お前がしないんだったらナミも暇だろ?俺がかわりにして貰ってこう!」
「・・・ルフィ、てめェ・・・斬るぞ。」
「てめェ!部屋で刀は抜くな!」
「ベェェェェーーだ。」
サンジの静止の声も振り切って側転でひらりとルフィは逃げる。舌もゴムだから良く伸びる。
壁側で構えるかと思いきや興が失せたようにゾロに向き直った。
「ナミが笑ってねぇの、オレ やなんだよ。」
壁を背にルフィは帽子をかぶり直して部屋の真ん中のゾロをじっと見ている。
沈黙が二人の間を支配する。
ゾロの方が先に目をそらした。
「・・お前等と笑ってるじゃねぇか。」
するとルフィがたたみかけた。
「全部笑ってないと嫌だ。」
その言葉にさらにゾロは一瞬動かなくなった。しばし下を見ていた視線がゆっくりとルフィに向き直る。それを受けたルフィは真っ直ぐに、揺らがない。斬り込むように鋭く且つ重圧を隠さない視線をゾロはルフィに圧しつける。そして一呼吸。言いにくそうに、薄い唇を開いた。
「・・・・善処する。」
「おう。」
部屋にほっとした空気が流れ、皆ゾロを見ていた。

「けどどうすりゃいいんだ?」「オレ、しらねェ」「てめえらアホか!?」
三人寄っても知恵一つも出なかったが。





◎何度でも


夢にばかり見る。甘い声。吐息。
夢の中でオレから遠く、お前は笑ってる。曇りのない笑顔で。
何度も夢に見る。
目が醒めると淡雪のように消える。

だが現実で本物に会ってしまえばそれで満足してまた俺は一人で俺の道を行くだろう。
これだけは否定できない。変えることもできない。

だから夢の中では。オレは何度でもお前に囚われている。



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