【リング】   えみさん  a siesta




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元ネタ(かるら作品)




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『突然の刺激にだけは充分注意すること』そう注意書きのされた丸薬の入った小瓶がスモーカーの私室の引き出しの中にあった。

 巡り巡ってなぜかスモーカーの所にやってきたその丸薬はある海賊医者が作った「女性のアソコがとっても良くなる薬」だという。媚薬成分も含まれているが副作用は特に認められていない。元が海賊からの入手という事で毒薬の可能性もある。そこは海軍の優秀な研究所から成分分析報告も入っていた。ほぼ安全との事であった・・・・。

 ひょんなきっかけで入手したその丸薬。スモーカーは使うか捨てるかたっぷり一週間は悩んでいた。使う相手は1人しかいない。別に今のままでもたしぎとの夜の方に不満があるわけではない。身体の相性も悪くない。スモーカーによって少しずつ開発されていっている。締まりの方だってまだキツイくらいだ。快楽する姿に恥じらいながら身体を開くたしぎの様子は可愛いし十分にスモーカーを刺激するものであった。それに薬を使う後ろめたさも多少あってためらっていたというのもあった。

 だが、スモーカーの男の性(さが)がもっと乱れるたしぎの姿を見たいという。媚薬というクスリは持っているものをまず誘惑して止まないものなのだ。

 引き金を引いたのは派手なたしぎのドジ騒動だった。はじめは葉巻を噛み潰しそうな勢いで怒りを腹の底に充填させていたが、その時は溜め息をついて気を紛らわした。目の前で肩をすくめてスモーカーの怒鳴り声に備えようとしているたしぎを眺めながら、心の底では『これはお仕置きが必要だな…』と自分に都合のいい方にスモーカーは考えを変換してしまっていた。





























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夜にスモーカーの部屋に呼び出されて、びくびくしながらたしぎは入ってきた。本人にも昼間にやってしまった騒動の自覚があるので怒られるのではないかと。大抵は報告したその場で拳骨と共に雷が落ちる事が多いのだがその日は溜め息一つつかれて終わっていたからだった。

 …これから起きるのはお小言かお仕置きか…
(ある意味、お仕置きだが…)

「・・・・スモーカーさん あのォ…」
「何、ビクビクしてやがる」
「昼間の事でしょうか?あれは本当に私のミスで、反省しています」
「ああ?テメェそんな事でびくついてやがるのか?そんなのいつもの事じゃねェか。怒鳴られたくないならいい加減にしやがれ」
「ご ごめんなさい」

 小さくなってしゅんと首をすくめるたしぎにスモーカーはひらひらと手を振りながら「もう 怒っちゃいねェから顔をあげろ」と言いながらアルコールが少し入った飲み物を勧める。

 別に怒られるために呼ばれたのではないと知るとたしぎは安心してそのグラスを受け取り緊張のあまりカラカラに乾いていた喉を潤す。その後は恋人関係にある二人である。ゆったりとした甘やかな夜の時間が始まる。

 時が経つにつれ、賑やかにお喋りをしていたたしぎも次第に口数が少なくなってくる。葉巻を置いて「来い」とばかりにスモーカーは片腕を広げて誘うがもじもじと恥ずかしそうにしている。スモーカーの方から近付き腰に腕を回して抱き寄せると「あっ」と小さく言いながらも柔らかく腕の中に収まり俯きながらもスモーカーの胸に顔を埋めるように身体を預ける。

 このままでも充分、愛しいしそそるけどなぁ・・・・とほんの少し考えてもみたが、お仕置きでもあり一度やってみようと決めるとその誘惑には抗えない。今は大人しく恥らう様子を見せているたしぎがどれだけ乱れるのか・・・・。

 『よく口内に含ませること』と説明書きにはあったので、スモーカーは素早くその丸薬を口に含み、噛み砕いた。これからの事を考えると自然と胸の鼓動が早くなる。スモーカーの裸の胸に頬を寄せているたしぎがその変化に気付きそうな気がした。

 柔らかい髪の毛を梳くように撫でていた手が耳のふちを掠め、顎のラインを辿りながら上を向かせる。軽く開かれた唇に重ね合わせるとぬるりとスモーカーの舌がたしぎの中に侵入していく。ためらいがちに縮こまる舌をくすぐるように絡めていくと次第に柔らかく応えはじめる。少しずつスモーカーから注がれるものを疑いもせずこくりこくりと飲みこんでいくたしぎ。舌と舌との戯れあいは次第に深さを増していく。向きを変えては口の中の柔らかな部分を探り、互いを舐めあう。溢れた唾液が口の端から零れ、それをスモーカーが指ですくうとその指先も愛しそうにたしぎが舐め取る。

 口への愛撫にゆっくりと時間をかけ、最後にチュっと音を立ててたしぎの舌を吸ってから少し顔を離して見る。紅潮した頬に最中のように潤んでトロンとした瞳。

「あれ?なんだか変・・・・暑い・・・・ですね」

 離れたたしぎの吐息がやや乱れ、うっすらと汗もかいているようだ。

「そんなに暑いか?」

 染まる頬に手を当てるとそのあてた手の平から伝わる熱気はかなり熱い。大丈夫か?と心配になりながらも手を頬から首筋に移動させていくと「んっ・・・」と微かな声を洩らしながらぴくんと震える。スモーカーの問いかけにはこくんと頷き「暑い・・・」と言いながら柔らかくしなだれかかってくる。

「脱いでもいいんだぞ・・・」

耳元で囁く。

 いつもは恥ずかしそうにしながらされるがままか軽く抵抗を示す。身につけているものを脱ぐその一瞬は緊張するのだそうだ。薬が効いている今はどういった反応を示すのか?

「えっ?あ・・・うん・・・・」

 スモーカーの顔を見上げては、その言葉に導かれるようにブラウスのボタンに手をかける。震える指先が小さなボタンを外すのに苦労しているようだが一つ、また一つとゆっくり外されていく。外し終わると服を開きながら肩から落とす。細く丸みを帯びた肩から服がするり床に滑り落ちていく。ふーっと息を吐き出してから、そのまま臆することなく背中に手をやりブラジャーの止め具に手をかける。
スモーカーはそのたしぎの様子に息をのんで見守っていたような気がした。下着の止め具を外す小さな音が耳にパチンと響いたと感じるほどだった。

 頬にかかる髪の毛を払うようにふるっとたしぎが頭を振るとそのまま重力に従って乳房を包んでいた下着は落ちていく。ぷるんと二つの膨らみが揺れ、つんと立ちあがった先端にすぐにでも口に含んで舐めしゃぶりたい衝動にかられる。

「スモーカーさあん・・・・」

 ねっとりと絡みつくような熱い吐息と共に甘える声。スモーカーはごくりと唾を飲みこみ、肩のラインから乳房の先端を一撫でして一緒に現れた腰から白い腹部を優しく撫でる。

「もう、いいのか?」

 キスをせがむようにスモーカーの首に腕を回すたしぎに応えて唇を食む。ウェストを締めつけているあたり指先でなぞる。指先から伝わるのは熱。

「う・・んっ・・・・」

 身悶えるように震える腰、手はそのまま服の上を滑り腿の内側からじんわりと一際熱い丘をおさえる。

「脱げよ・・・」

 スモーカーは唇をまた耳に滑らせて、もう一度そう耳元に吹き込む。たしぎの耳の奥には一緒に舌を挿し入れられて湿ったぴちゃという音が響いていた。

 たしぎはふらふらしながらスモーカーから少し身体を離すとズボンの上の鋲に手をかける。そしてファスナーを下ろして、下着も一緒に足から抜きとってしまった。

 少し汗ばんでしっとりとした素肌は艶めいて見えた。柔らかな茂みからは女の香りが立ち昇る。それはスモーカーの男の部分を狂わせるのに充分だった。恥ずかしげもなく、さもそれが自然だというようにスモーカーの前に立つ。たしぎの腰から尻にかけて撫でるスモーカーの手をやんわりと掴んでは自分の秘部に導こうとする。

 よほど強力な媚薬なのか?普段なら考えられないようなたしぎの動きに改めて薬の効果に感心する。自分の快楽を求めるのに素直な様子は楽しまなければ損だ。そう 考えたスモーカーは導かれるままに指を茂みの奥に滑らせていく。

 そこはもう愛液で濡れて腿の内側に溢れ落ちそうになっており、すぐにスモーカーの指をびちゃびちゃに濡らした。

「あぁっ・・・・」

 指を一本潜りこませる。ごつごつした中指がたしぎの中に入りこむ。甘い声が深い吐息と共にたしぎの口から漏れる。
たしぎの中は更に熱く溢れながら、ぎゅうと絡みつくように蠢き指一本でもきつく締め上げてくる。ゆっくりと中の感触を楽しみながら、抜き差しを繰り返し道を広げる。更にもう一本・・・・・・

「いやぁっ・・・・・」

 それまで貪りあっていた唇が離れて、仰け反ったたしぎの喉の白さがやけに目についた。そこを噛み付くようにキスをしては乳房の先端を咥える。舐めては吸って転がす。膣の中を擦るように挿入を繰り返すとくちゅくちゅと湿った水音が響いてくる。

「やぁ・・・もう もうダメ…イッちゃう… スモーカーさあん」

 うわ言のように名を呼びながら乳房を愛撫するスモーカーの肩にしがみつく。崩れ落ちてしまいそうな腰を片手を回してスモーカーが支えてやると指の動きに合わせて腰も揺れる。

「ぁんっ・・・・・・」

 ビクンと震えるたしぎ。挿し入れられた指を飲みこみ尽くすようにぐいぐいとリズムを伴って締め上げてくる。

「イったのか?」

 指の動きを止め、くったりと寄りかかってきたたしぎに聞くと。こくんと頷く。

「・・・でも・・・」
「でも、何だ?」
「・・・まだ・・・もう少し・・・」
「まだ・・・欲しいのか?」

たしぎは恥ずかしそうにしながら、スモーカーの首に両腕を回しては唇を求めてくる。そんなたしぎの足を掬い上げベッドに運ぶ。


















3

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「確かに暑いなぁ」

 スモーカーは自分もやや汗ばんできているのに気付いた。ベッドに腰掛けさせたたしぎがスモーカーを見上げながらスモーカーのそこを確かめるように手で触れてくる。確かめるまでもなく、スモーカーのモノはすでに硬くなっていた。たしぎがベルトを緩め下着と一緒にズボンを下ろすと、腹につきそうなくらいに熱くそそり立つスモーカーの男自身。たしぎはそれを愛しそうに唇を寄せてはペロリと先端を舐めて雫を舐め取る。そのまま、ぱくりと咥えて舌を絡めながら吸い上げてくる。

 たしぎの口内も熱く、絡め取るように吸い上げてくるその行為にスモーカーは腰へ込み上げてくる疼きに耐える。スモーカーは今日はやけにその感覚が早い事に気付いた。よく考えれば男性に先ほどの媚薬成分が効かないとはどこにも書いてはいなかった。スモーカーも口に含んでいるのだからその成分が充分に働いていてもおかしくない。そういう事を考えて気を紛らわせようとしたが、手で根元をしごき舌を這わせながら巧みに吸い上げてくる感覚にスモーカー自身も一層熱く猛り狂う。

「たしぎ もういい離せ」

 そう言って腰を離そうとしたが、チラとスモーカーの方を見上げてはそのまま続けるたしぎ。「くっ」と小さな呻き声と共にたしぎの口の中に濃い液体が注ぎこまれる。コクンと飲みこんでは

「スモーカーさんもイっちゃいました?一緒だァv」

 嬉しそうに微笑んではスモーカーの腕をひく。二人ベッドに倒れこみ、あとは互いを昂ぶらせるように肌に手を這わせ舌を絡め合う。

 今すぐにでもそこにぶちこみたい衝動に駆られながらも、もっと攻め立ててぎりぎりまで追い込んでみたい。立てさせた膝を割り開くと薄い夜の光りに淡く秘唇が開き零れた蜜で輝っている。眺めているだけでもひくひくと息づくように蜜が滲み出てくる。

「なぁ どこが気持ちいいんだ?」

 問いかけるとゆらゆらとたしぎの手が秘部へと伸びてくる。溢れる蜜壷に指を浸し、花を押し開きながらプクリと存在を露にしている陰核に指を置く。

「そこがいいのか?」

 たしぎは返事の代わりに「あァ…」と声を漏らしながらクルクルと指でそこを撫でている。みるみるうちに新たな蜜が滲み出しそして溢れる。スモーカーはしばらくその自慰行為を眺めていたが、たしぎの切なそうな喘ぎ声を聞いているうちに柔らかな入り口を指で撫でてみた。一際、極まった声が漏れる。

ならば…
 喘ぐように蠢く蜜口に口付ける。チュウと吸い上げると少し酸味がかった体液の味がした。だが、それはスモーカーにとっては何よりもの媚薬に感じた。舌で舐めとり、尖らせては溢れるものを舐め取っていく。内部の壁をこそげるように舐めれば蜜口が収縮を繰り返す。

 たしぎの指は自分の陰核をなで続け、腰のうねりは激しくなる。膣の締め付けと声の様子では何度か絶頂も訪れているようだが、尽き果てる事はまだないようだった。

スモーカーは起き上がり唇についたたしぎの愛液を腕で拭い、たしぎの指を止める。そして、満開の花のように開ききったそこをはち切れんばかりに硬直した己自身で一気に貫いた。

 内部はいつもと比べて格段に熱く、きつかった。初めての時以上ではないのかという程に狭いような気がしたが、入ってしまえばそこは快感をすでに知る女の内部である。絡みつくように腰が動き、内部の最も感じる位置に合わせてくる。媚声を堪える事無く、スモーカーの名を呼びながらたしぎが縋ってくる。
スモーカーも彼女の名を呼びながら自分自身も焼き切れそうな程に身体が求めていた。激しくたしぎの内部を突きながら、自分も吸い上げられる感覚に何度も放ちたい衝動に駆られるが、それをやり過ごしまた彼女を揺すりあげる。

 一体、海賊どもはこんなクスリを作り上げて何をするつもりだったのか?そんな考えがふと脳裏に浮かぶが、目の前の乱れるたしぎの姿には抗えず更なる絶頂に彼女を運び上げようと腰を突き動かす。



その時、すーっと身体が浮きあがるような感覚に陥った。

いや、落ちている。
船が。

落ちきったと思ったその次は突き上げるような衝撃がやってきた。
途端に大音量で船内に鳴り響く緊急ベル。


事を中断して急遽艦橋へと思ったが事件はその時ベッドで起きてしまった…























4

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ヒクンと彼女の身体に緊張が走ったかと思うと「痛ーいっ!」たしぎの悲鳴のような泣き声と声にならないくぐもったグゥッというスモーカーの息を詰める音が同時に上がった。

「痛い、痛い」と泣きながらスモーカーの下でたしぎがもがき続ける。一方、スモーカーの方はそんなたしぎを宥めるように抱きながら腰を引こうとしていた。

 だが、全く抜けない。
 たしぎの内部がそれこそスモーカーのモノを食いちぎらんばかりに締めつけ、引き抜こうにも全く動かない。進もうにも進まない。根元を締め付けられた為に放出もできずまた萎える事も許されない。流石のスモーカーも急所を締め付けられる痛みに脂汗すら滲んでくる。

 スモーカーの部屋の内線が今度は艦内ベルの音に重なりながら鳴り響く。いつもなら、真っ先に現れる上司がやって来ない事に痺れをきらしたのだろうか?だが、今のスモーカーはその内線にだって出たくない状況であった。

「たしぎ、分かるか?分かるな?ちょっと大人しくしていてくれよ」

 夢現のような状況から醒めて今度は急な体の変化に苦しんでいたたしぎ。艦内に鳴り響くベルの状況と内線がかかってくるという状況は分かるのだが、体の内部から痛みがこみ上げもがくしかない。かろうじてコクリと頷き、動かぬ体でスモーカーにしがみ付きながら唇を噛み締め悲鳴を耐えている。

 スモーカーがサイドテーブルの内線に手を伸ばし、ようやく受話器に手が届く。

「何だ?何があったのか報告しろ」
「はっ!スモーカー大佐、お休み中の所を申し訳ありません。今、ありました異常な揺れの原因は海王類が近海で跳ねた模様です」
「夜襲じゃねぇんだな。海王類避けは作動していなかったのか?」
「作動中ではありましたが…効かない周波だったようです」
「そうか…それなら艦内の被害状況がまとまったら内線で報告しろ。いいな。引き続き監視を続けろ。あと、海王類避けをもう一つ周波数を変えたものを放り込んでおけ」
「はっ!」

 内線で通話中も波の余波がいくつかやってきたが、それも次第に弱くなってきている。海賊の夜襲でもなく、海王類が暴れて襲ってきたのでもなければスモーカーが直接出ていく必要もない。
それならば艦橋に行くよりも次は我が身とたしぎに起こっている問題の解決が先だ。

「たしぎ、どうだ?落ち着いてきたか?」
「痛い、スモーカーさん助けて」

 確かにスモーカーのものを締め付ける力は収まっていないので、状況はそうは変わっていないのだろう。スモーカーは、もう一度手を伸ばして内線を手に取る。

「俺だ、艦内に怪我人は出たか?」
「いえ、大した事はないようです」
「……それなら俺の部屋に来られるか?薬を持って」
「怪我でもされましたか?」
「話は後だ。騒がずに出来るだけ目立たぬように来い」
「…了解」

 スモーカーが内線を入れた先は艦内の医官の所であった。
「痛い、痛い」と泣き続けるたしぎを抱きしめながらスモーカーもそろそろ限界であった。自分だけで何とかしようとしても解決策が出てこない。これは多分噂に聞く『膣痙攣』というものなのだろう。それならば、医官にでも頼る他無い。

 到着を待つ間、ふとスモーカーは自分が煙の能力者であった事を思い出した。我が身と我が身に触れている物質を煙に変える事ができる。イチモツを煙に変えてしまえば抜けられるじゃねぇか…

 普段は呼吸をするのと同じくらいに自然に我が身を煙と化す。敵からの突然の攻撃すら吸収する事ができる。だが、どうした事だろうか…焦っているのか?スモーカー自身も相当慌てているのか身体は煙に変えられるのにイチモツだけ取り残される。

集中 集中 集中

 精神を統一してようやく全身を煙に変化させ彼女の中から抜け出せたのは、医官が到着するほんの少し前であった。煙から実体に戻り、まだ苦しがっているたしぎの体にシーツをかけて抱えるのとドアのノックの音は同時であった。

「入れ」

 その声にそっとドアが開き、スモーカーよりもやや年長の白衣の男が入ってきた。

「スモーカー大佐、どうされましたか?」
「ここで見た事、聞いた事、他言無用だ。どういう事か分かるな」

 スモーカーがシーツはかかっているがどうやら裸のたしぎを抱きかかえているのを見て二人の関係について瞬時に把握した(以前からある程度、艦内の暗黙の了解ではあったが)医官は
「我々には知り得た患者の情報については守秘義務というものがあります。凄まれなくても心配は要りません。それよりも患者はたしぎ曹長ですか?」
「ああ」
「診察しますのでたしぎ曹長をベッドに寝かせて下さい。そして状況を説明して頂けますか?」

スモーカーは薬を使った事には触れずに突然の刺激と同時に急にたしぎの体に起こった事だけを説明した。その間、たしぎは身体を丸めるようにして痛みに耐える。状況を理解した医官はたしぎが動かぬようにスモーカーに押さえるように指示すると、すばやく筋弛緩剤を彼女に注射した。
しばらくするとようやく体の強張りと痛みが解け、同時に投与された安定剤が効いてきたのか苦しがっていたたしぎはトロトロと眠り始めた。

 たしぎが安らかな寝息を立て始めるとスモーカーと医官二人はようやく安堵の吐息を漏らす。スモーカーは自分の葉巻に火を点けながら、医官にも一本すすめる。医官は「まだ、仕事が残っていそうなので次の機会に」と断る。

「話を伺っていると『膣痙攣』だと判断したので注射を打ちましたが、正直言って噂ばかりで実際に起きているのを見たのは初めてでした。スモーカー大佐」
「俺だって、初めてだ…」
「それで…その膣痙攣の場合、締め付けで血流が止まるので男性の側にも障害が出る場合があるのですが、スモーカー大佐ご自身に痛みなどはありませんか?」
「あ、ああ。俺は煙になる事ができたから」
「そうですか、それならいいのですが。曹長の方はしばらく安静にしてください。もちろん夜の方もです。薬を調合しておきますので、明日の朝飲む分は大佐室に届けるという事でいいでしょうか?」
「色々とすまなかったな」
「仕事ですから。くれぐれも無茶ななさらないで下さい。曹長のためにもです」
「分かったから、もう無茶はしねぇよ」


























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『使用上の注意

これは粘膜からの吸収が一番早いので効き過ぎる可能性があります。
くれぐれもコップ一杯の水と一緒にきちんと飲み込みましょう。
そして効果が在るまでの30分待って下さい。
間違ってもその間に運動してはいけません。血の巡りが早くなって効き過ぎる可能性があります。

なお、心臓の悪い人は飲んではいけません。心臓に毛が生えた人も。

調薬責任者 ト------------パー』


後からその丸薬の説明書だといって送られてきたものを見て、スモーカーは

(バカヤロウっ!!! こういうものは先に渡しやがれっ!!!)

と内心怒っていたという。医官から申し渡された1週間どころかそれから1ヶ月近くたしぎが怯えてしまいナイトライフはお預け。その紙片は薬と共にたしぎに見つけられないうちに処分されたらしい。

 残ったのはイチモツの根元の輪っか状の痣。それはしばらく消えなかったという。掠れて読めない調薬責任者の海賊の名前はまだ賞金首リストに上がってはいない・・・・・。


おわり








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