勝負





「おいゾロ、飯だとよ。」
甲板ですれ違いざまにウソップが声をかけてきた。
「おう、お前は?」
「火薬の仕込みの調合時間なんだ。」
ああ。ルフィに見られたらやばい作業は倉庫でやってるからな。
花火なんざ、あいつにかぎつけられたら危なっかしいことこの上ない。
「で、ついでにナミを呼んできてくれとさ。」

んだ?
「ナミは蜜柑畑にいるはずだ。」

「面倒くせぇな。クソコックのヤツに行かせろ。」
「目も手も離せない状況だとよ。」

ウソップからの隔離目的でキッチンに据え置かれているよだれを垂らしたルフィとチョッパー相手。
仕方ねぇか。

「ちぇ。そりゃご愁傷様だな。」
軽い気持ちで引き受けた。








「おいナミ。」

下から居るはずの蜜柑畑に向かって遠くから声を掛けた。
返事がない。

仕方なく上がってみると蜜柑の木の下に座ってる?
・・と思ったら反応がない。
目を閉じて下を向・・

寝ていやがった。

「おい!起きろ!飯だとよ。」


こっちからはでけぇ声をかけても起きない。
舌打ちしながらも仕方なく階段を登りきりナミの側に向かう。
揺すりゃ起きるだろ。
野郎なら蹴れば済むが一応気を遣わないと借金の換算をされて三倍返しが又増える。今更多少増えたところでナミの腹の中じゃもっと利子が付いてくるんだから考えても、まぁ無駄なのだが。

「おぃ・・」

軽く曲げた指。を顔に寄せて壁により掛かった上体は崩れそうな位置。
掴むなら頭は不味いだろう。髪の毛一つで結構煩いときがある。
肩でも揺するかと手を伸ばしたその時。

「う・・う〜〜ん。」
ナミはくるりと回転を始めた。
ごろんと反対を向いて転がり半回転。動きながら短いスカートがめくれ上がった。
日焼けのない真っ白な足の付け根に視線が吸い寄せられて離れない。
掴もうとのばした手が宙で止まった。



手は方向を変えて視線の先にいきたがっている・・訳などないが心臓が跳ね上がる。




「・・・・・・・・・・・おいっっ!!!ナミッ!ナミッッッッ!!」

腰が引けたまま出た大声だったが・・ナミの反応は・・・・ない。




「んんっ・・・。」

微笑んだ口元が綺麗な桃色で誘いをかける花に似た形で咲いている。
隆起した胸が呼吸運動にあわせて上下に揺れる。

「・・・・・・・・・・・。」


ゾロの口元はしっかり結ばれたまま喉の嚥下だけが繰り返される。
ゾロが中腰で見下ろす視線を受けながら、ナミは動かない。

「・・・・・・・・・・・。」







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遠くでゾロの声がした。
夢の中かと思ったのは自分が蜜柑の木の下で寝てしまったと気が付いたからだった。

「おい!起きろ!飯だとよ。」

そういえばもう太陽がかなり低い。ご飯の時間。
サンジ君じゃなくてゾロが呼びに来るなんて珍しい。
・・・本当に珍しいわ。
滅多にないわ。
雨が降るかも。






心に浮かんだアイデアに起きた興奮を隠して、目は閉じたままにしておくことにした。
気付かないふり気付かないふりv
あいつどうするかしら。

ゾロの足音が甲板を伝わってくる。
側でしゃがみ込んだ。
手を伸ばす?
躊躇ってる?
そんなのまで迷ってるわけ?

「おぃ・・」


なら先手必勝。


「う・・う〜〜ん。」
ゾロの反対の方に自然に見えるように転がって見せた。
こういう微妙な崩れ方は泥棒時代によく使った手だからお手の物。
ついでにちょっとサービス。裾は開いて足もずらして。
見えそうで見えないラインってのが実はテクニックなんだからね!
やーい困っちゃえ!




本当に固まっちゃったわけ?
ちょっと。
「・・・・・・・・・・・おいっっ!!!ナミッ!ナミッッッッ!!」
声が半泣きよあんた。残り半分はぱにくって怒ってるわね。


面白すぎるわこの漢!!ああ笑えないのが辛い。
ああ!笑い声が漏れちゃった!
ならあっち向いちゃえ!
「んんっ・・・。」
呼吸を整えるのにゆっくりと深呼吸で寝たふり寝たふり。








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いきなりだった。
目を閉じていたナミには触覚だけが過剰なセンサーになった。



ナミのシャツの裾からゾロはいきなり両手を突っ込んだ。白い巨大な桃をがしっと鷲掴み揉みしだきはじめる。
手に余るそれを下から持ち上げその周囲を大きな手がはい回る。そのまま寝ているナミに覆い被さった途端シャツを持ち上げて今度は先端を口に含み舐め始めた。
「ひゃっっっ!んん・・・・・ん。」
緩くきつく、噛んで吸い上げて、ねぶって突いて、実はナミの一番弱い所をふんだんに攻めてくる。


タイミングを読む間もなく、あっという間にゾロがナミを押さえ込んだ形で攻めていた。
その重量に、体温も体臭も馴染んだそれだ。
触れてくる荒々しい手に一瞬恍惚となりながらもナミは耐えて目をかっと開けた。








「ちょっとあんた!寝込みを襲うなんてそれが剣士のやる事なの?」
潤んだ目と上気した頬でもナミは手と舌の活動域が増える前に反撃を開始した。身を離しゾロを睨み付けるがどうも敗色が濃い。

「起きて俺に挑んでくるヤツは返り討ちだろ。」
ふふんとゾロは鼻で笑った。
「タヌキが。」
「・・・気が付いてた?」
ナミはぺろりと舌の先を出して笑う。
ゾロは着衣も弛めずふんっと顔を上げた。

「ったりめーだ。」
「ビビってたくせに〜〜。」
「なっっ!最初から起きてたんだろ。バレてんぞ。ってことで返しは夜にお得意の三倍返しでいいぞ。」
「嘘よ!絶対最初は気付いてなかったわ!」

ようやく顔を体から話して得意げなゾロをナミが許すはずもなく。
「何の?胸を舐めさせた三倍返し?いい加減にしなさいよ!だいたいこれをどう三倍にするってぇのよ!そもそもこういうのってあんたの払いでしょ!」
「三倍舐めろよ。今はお前だけ良い思いしたろ?チョッパーに匂いでばれるぞ。」
「!・・・・・・・・・・。」
言われなくても、そう、下は疼いている。
ナミは下唇を噛んだ。
にやりと笑った獲物の弱点を見つけたときのゾロの眼。


これは・・・・まずナミの一敗?

唇を尖らせて頬を膨らまし。目も大きく開けて全身を大きく見せて。
皆の前では何も言わないゾロが挑発をどう堪えるかが楽しみだったのに。しかもゾロにあたしが払うわけ?
言葉のでないナミはかんかんに怒っている。


「さーて飯も夜も楽しみだな。」
ナミが手元にあった間引いた蜜柑の青い実を投げたが同じ色には当たらなかった。
あはははと笑いながら階段を下り始めてる。
「・・・・・・・・・・・。」
判ったわよ。三倍返し。覚悟なさい!


end







続きは気が向けば