夢を見た。
俺は一人。
夜の砂漠に立っていた。
白珠の月の光を受けて光る砂丘の上に女がいた。
お前は俺の知っているチビじゃなくて。
俺は今の汚れちまった姿で。
俺を見つめる二つの紫水晶から次々と零れ落ちる雫が。
月光で真珠に変わる。
静かに・・ただ静かに。
その瞳は俺を責めるでなく。
ただただ深い悲しみを珠に変えて溢れさせ続ける。
それをどうしても止めてやりたくて。
もどかしい思いを舌に乗せても。
ただ・・そは溢るるばかり。
薄汚れた自分を省みずに。
堪えきれずに抱きかかえた身体は。
力を込めた腕の中で燐光の塊になり。
触れる先から風に溶けてこぼれていった。
汚れた俺には宝石を抱く資格はないのだろう。
後には石英の砂が俺の手に残るばかり。
それもやがて砂漠の風に攫われて行った。
そんな・・・・夢を見た。
「コーザ・・コーザ!!・・駱駝の上で居眠りすると落ちるぞ。」
「・・・居眠り・・??ああ・・今の一瞬だな。・・・・。
なんだか夢を・・・駄目だもう消えちまった。」
「おい、しっかりしろよ。アルバーナまで後半分だ。」
「・・ああ・・。そうだな。」
俺の手には吹き付ける風に乗った砂塵が埃となって降り積もるだけ。
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蠍も仕上げていないのにnight verのイラストにやられて.書いてしまった短文。
イメェジのみぜんぜんイラストとあってないだろ!
と言う皆さんの生暖かい突っ込みが見えるようです・・。
紙一重・与作様に献上