11/11
チョッパーの日誌より抜粋
『11/11 晴れ 夏並の気候
今日はゾロの誕生日だった。人間は年中産まれる生き物だから誕生日は大切らしい。
仲間とその話をしていたらいきなりサンジが怒って危うく食べられる所だった。
まだまだ人間は難しい。』
輝く太陽。照り返し煌めく海。雲一つない空。
屋外の作業を終えて、皆が昼食を待っているキッチンへ
流れる汗を拭きながらウソップが入ってきた。
船というのは思わぬ雑事が多い。
「こう暑いと季節感なんてないな。もう11月だぜ。
サンジー、なんか冷たいもんくれよー。」
長袖のシャツを肘の上までまくってエプロンをして、
昼のパスタのソースと格闘中のコックは顔の向きも変えずに言い放つ。
「もうすぐ飯だ。第一贅沢ぬかすんじゃねえ。
おめえ等のつまみ食いのせいで冷蔵庫は素寒貧だぞ。
氷と水くらいしかねえ。勝手に出しやがれ。」
他の皆は既にテーブルに座っていつものように過ごしている。
ご飯を待つもの、本を見るもの、寝ているもの。
「ウソップあたしもお水ちょうだい。
―――グランドラインだもんね。
きちんと日誌付けないと日付もわかんなくなっちゃうわ。」
今書いていた昨日の日誌をテーブルの上から片づけながら航海士が答える。
「今日は11日ね」
新聞をおろしながらビビが答えた。
その横に座ろうとしたウソップがふと声を上げた。
「11月11日か…?!ゾロおめぇ誕生日じゃなかったか?」
「ん?ああそうだな。……だから?」
ゾロは興味なさげに右目だけを開けて答える。
眠っていたわけではなく…だからといって皆の会話を聞いていないわけでもない。
声をかけられたから答える、と見た目からは見えない律儀さで返事を返す。
「なあなあゾロ、幾つになったんだ?」
大きな目を見開いてルフィが聞く。
即座に答えは返らない。
自分でも数えているんだろうか。
「……20ちょうどだ…」
「おい、なんかめでてぇな。宴会やろうぜ宴会!」
面倒くさげに答えるゾロと対称的に何かと宴会をしたがる船長。
彼に言わせると
だって海賊は歌うんだぜ
ということになるらしい。
「…やめとけ。」
「あのなあ言ってるだろ。もう食い物がねえんだ。
…ということですまねえが祝ってやれねえぜ。」
大体野郎の誕生日なんざ祝っても仕方ねえだろうが。
できあがった料理を並べようと温野菜のサラダの大皿を抱えたサンジが
振り返りながらやや好戦的に煙草の煙を吐き出す。
「…ガキじゃあるまいし、誰が祝ってくれっていった?」
「けっ、余裕だな。1人先に大人になりましたってか?」
旨そうな料理を前にして火花を散らす二人をよそに取り皿を出し、
並べながら羨ましそうにウソップが呟いた。
「20歳か。何やっても誰にも文句いわれない年なんだな。」
「そうなのか?いいなそれ。」
言いながら大皿の飾りを一つ口の中に消すルフィ。
サンジは一発ルフィの頭をこづいて、次の皿を取りにキッチンに返る。
頭の後ろで組んでいた両手をほどき、テーブルに向かって体を起こしたゾロが眉を寄せた。
「あほか、海賊にやったら駄目な事ってあるのか?
誰が相手だろうが、何をしようが許可なんていらねえだろうが。」
大体てめえは許可なんか要ったことがあるかよと右手で頭をかきながら続ける。
そぉかオレ達海賊だもんなーと1人で納得するルフィの横で
それまで黙って聞いていたチョッパーが何か思いだしたように視線をあげ、
ぽんと手を叩いた。
「そう言えばゾロ。ナミの体調良くなったからもう交尾しても良いぞ。
医者のオレが許してやる。
前に聞いてただろ?こればかりは許可要るし。」
とにこにこしている。
ピンと立った髭が得意げだ。
・・・・・・・・・・・。
青ざめたウソップ。変わらないルフィ。真っ赤になり下を向くナミとビビ。
三色旗のように変わった顔々の中でニヤリと笑った口端以外変わらないゾロ。
そして…
「……………このクソトナカイが〜〜〜!!
てめえを今夜のメインディッシュにしてやる〜〜!!」
手に持ったメインのパスタの湯気ではなく、
サンジの背中から怒気が立ち昇っていた。
その日の夜半倉庫にて。
「で、あんた、ドクターストップなんて守ったことあったっけ?」
「気にすんな。プレゼントはおとなしく喰われてろ。」
<後書き>
1
いわゆる初投稿作品です。
どうしてもチョッパーに「交尾」と言わせたくて書いた様な物(笑)
紙一重さんのゾロ誕生祭のコンセプト「みんな幸せ」に共感して
送りつけてしまいました。
これで、このシリーズの形『「日記」で始まり某所で終わる』が確定しました。
2
ゾロのお誕生日だから緑色〜♪
与作さん作のチョパ壁紙。
あまりのらう゛りぃさに張ることを決意しました
この他にも色違いあり
全編通してこれを使うことを固く決意!