「カルー?酔って寝ちゃったの?仕方ないわねぇ。でも……仕方ないか、こんなにリラックスしてるのって、本当に久しぶりだもんね。」
水色の髪の彼女はお腹を天に突き出して寝ころんだ愛鳥の隣に座りました。
他にも転がっていたメンバーは剣士君が蹴ったり片手で持ち上げては床の中に転がしていましたが、その大きさに諦めたと言うより、その柔らかさを気に入ったのかカルーと呼ばれた鳥はそのままでした。
一度は階下に下がった彼女がコップに水を入れてやってきたのです。

あれはそう、彼女が二度目に乗り込んで、しばらく見ない間に可愛らしい雰囲気になっていたのを驚いた、その数日後の夜でした。
乗り込んだ当初まだ硬かった表情も少しずつ軟らかくなっていました。
料理人君の全身を傾けたもてなしや、船長君が必ず彼女の顔を伸ばそうと指を口に突っ込んでいるおかげでもあったのでしょう。
船大工の狙撃手君の軽口や、みかんも役に立ったのでしょう。

「海賊なのにいい人達よね。彼らに会えて良かった。」
結っていない彼女の髪が月の光を受けてキラキラ輝いています。
「もう泣かないって決めたの。」
にっこり微笑んで鳥のお腹をさすっています。その手触りを確かめて勇気を貰っているかのようでした。
「国を取り戻すまでは、絶対に、泣かないって。」
「くぅぇ〜」
「泣かないわ。絶対に。」







泣けないはずの私も一度だけ泣いたことがあります。
皆が私から降りる前夜、決闘のさなかにかぶった潮味のそれは私の涙でした。



最期に大きく手を振った彼女の頬に溢れた大粒の涙はきっとこの船のクルーがもたらしてくれたのだと私は信じているのです。













Backboard illustrated COMMON SUN
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