船酔い




貴方が初めて乗船してきた時を覚えていますか?

初めて船を見た子供の瞳というのはああいう物なのでしょうね。
隅から隅まで覗き込んで潜り込んで、大きくなっては舵やマストに手や足をかけて転がって落ちてきましたね。
宴会が始まって、見送る櫻の姿の次の朝には……とても苦しそうだったのをよく覚えています。

「チョッパー?大丈夫?」
「あ・・うん・・・。」
「どう見ても船酔いね。もしくは宿酔い。」
「カルーは割と大丈夫だったけど。」

女性二人が枕元で話していました。

なのに貴方は嬉しそうに声を上げたのですよね。

「これが船酔いなのかぁ……ならジンゲロールだ!!」
「何?それ?」
「薬だよ!吐き気にはジンゲロールの抗セロトニン作用だ!生姜だよショウガ!」

まだ元気だった皆が代わる代わる顔を覗きに来ていましたよね。


あれ以来、貴方は料理人さんとすっかり仲良くなりました。

そして仲良く研究したり、寛ぐようになったのだと思います。



人と動物の境はなく、人と物の境もない。

貴方のおかげでそれを確信できました。











Backboard illustrated COMMON SUN

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