WJ 644話『ゼロに』

やっと。
やっと魚人編で尾田っちが言いたかったことが現れた。

ルフィは被害者にはならない。ただの力の具現だ。その彼の新世界での初めての技が火拳銃だったことに涙が出た。

そしてしつこいくらいに重ねられたオトヒメの叫び続けた「恨まないで」
重ねられても尚届きにくいこの一言の意味が分かるまで強く深く根深い形をなして具現化した。
ホーディはつまり『先人の怨みだけを吸って育った間違った苗』

こういう存在は実は実社会(リアル)にいる。
それこそ世界中に。国同士の争いのおそらくは8割以上がこれに根差している。東アジアのそれは判りやすい。中東の、アラブの国々のそれも。アフリカのそれも。そしてそれは国内にも居る。人権問題の根本も未来に続く力も同じだ。
『怨み晴らさずにおくべきか・・』この怨みのどれだけが本人から本人に当てられた物なのだろう?
日本人の常識的に、自分の怨みは現しにくい。それは日本人の常識では自分のレベルが劣っていることを指すから。そして先祖や、他人の怨みを看板にするとそれだけで高揚感がある。罪悪感は減る。その安易で楽すぎる罠に同じように70億の内どれだけの人が流されているのだろう?


尾田っちはそれを糾弾することなく示し、諫めた。
いや、諫めてすらも居るまい。だた示しただけだ。己達の写し絵とそれが示す不幸を。
その声はささやかで密やかだ。決して争うつもりはない。
だがそれらは確実に訴える。そしてやがて届くはずだ。どんなデモ行進よりも。どれだけ声高に叫ぶよりも。
漫画、マンガ、MANGA。こんなに力を持った物だったなんて。
彼らはどれだけ凄いのだろう。きっと世界を変える力だって持てるようになる。



私達は些細やかなのに、荒ぶらないのに世界を変える力が発動するそんな希有な一瞬に出会ったのかもしれない

2011/11/03






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