wj428話「帰ろう」

タイトルのシンプルさに「え?」っときてその表紙イラストの大きい月に心熱くなるのは尾田マジックでしょうか?あれだけ唯我独尊他人のことを顧みなかった男ですけど、その夢の大きさに海賊と根が似通っていたのではないかと思います。
けどこれは先の扉絵と同じシリーズじゃないの?とは思いつつ。

そしてこのタイトルは読後の私の心を締め付けるのです。

「帰ろう」

カリファとカクは新しく棚ぼたで手に入れた力に酔って負けましたが、ルフィはウソップとの戦いの後で考えた。ロビンもいなくなって考えた。「俺が強くならないと仲間をうしなっちまう。」ジャンプインフレの世界でまるで天才のようにゴムとしての力を駆使するルフィの成長をどのように描くのだろうと思ってました。
結局は強くなると言う想いと自分の可能性を突き詰める努力という定番だったわけです。

そのツケが払わされる。使い切った力で動けないルフィに焦るウソップ、ナミ、ゾロ。混時のゾロの焦りっぷりが「やっぱりこいついざというときにはナミさんを安全域に置いてルフィを助けに行っちゃうだろうなぁ」と思うわけですが。(で、その後ルフィに助けられる。ちょっとへたれ。そこもかわいい)
けどゾロ自身、「助けが来ようと来まいと自分が戦って活路を開く」ってことに最優先を置く男ですよね。ルフィは絶対に助ける。自分(たち)も絶対に自棄になって死地を選ぶようになる事はない。そう言う姿勢も見えます。前しか見ないゾロと周囲に目を配れるサンジとウソップと。これはこれで見事な対だと思いました。


そして声が。

ここで窮地にも落ち着いてたパウリーが!実に頼もしい!
死んだことになってる方が安全だったのにといえば本当なんだけどな。脱走手段が何なのかは判らないけどきょじんもまとめて助ける男っぷり!コーザ、ワイパーと来たへたれ脇役(けど愛してるよっ!)の歴史にようやく終止符が打てました。

そして声が。

下から聞こえてくる懐かしい声。
まだ聞こえて無くてウソップにしばかれてるゾロのこのときの顔がこれもまた好きなんですが。
目がハートになってないサンジは実に頼もしく何かを仕掛けて人魚を始めちっちゃいのを連れてきてくれます。本当にサンジって良い奴だよねぇ。(可哀相なことに若いおねーちゃんの前以外では)
海軍もやっぱりいい人達です。前を隠してないココロさんも救助の対称なんですよね。
(その要救助者にマーメイドキック喰らってますけど)

その声は皆に届きます。
このときのナミさんのもだえみたいな表情が溜まらなく色っぽいーーーー!
「海へ」
タイトルの「帰ろう」に皆の答えですね。「海へ。」

そして誇らしげな。
最後の頼れる仲間が実に誇らしげに海から現れました。細くてちっちゃいシルエットで皆が飛び込んでいく(このサイズはコミックスじゃ見分けられないかも)。
一度乗せた仲間をメリーは決して途中の海でなくしません。必ず次の港まで連れて行ってくれます。仲間だから。

伏線の魔王にやられましたよね!
ここで泣けと言われるシーンで思わず朝から号泣しましたよ。
尾田先生はこのシーンを書きたくてW'編が長きに渉ったんだと思うともう言葉もない。

仲間のためにメリーを見捨てたルフィと
メリーという仲間を見捨てられなかったウソップと
仲間を運ぶために復活した姿で現れた(ここは笑うところだと思う)メリーと
そしてメリーが迎えに来た時には一緒に生きる決意をしたロビンと帰ってきたウソップも揃った。

おとぎ話でも良い、このシーンが見たかったんです。

2006/09/25


wj426話「風待ちの船」

イーラスト!イーラスト!
表紙のイラストはまず左上から目が離せず。
皆でしている(除サンジ)花輪のレイも二人だけのハネムーンの休暇にも見えます。
私は昨夜は一戦やらかした事後の昼下がりに見えるのだけれど、ナミの乳の夢を見るゾロに見えなくもないですね。

この現物は永久保存版!(2冊買った!)
このイラストの裏にゲームの宣伝があるんですがそこはルナゾ。
他のページでアラバスタ前の誓いのシーンが半分だけ載せられててルフィナミチョパゾロが見えます。

イラストの二人特集というわけです!
(ここまで痛い人ーー笑)



本誌の展開は今までになく危機感が強いです。
今までの中の最強の的ばかり量産されてくるのだから半端じゃない。
ナミさんも戦闘員として赴けるようになった今回の戦い、誰も欠けてないということに驚きながらその要がルフィだと解ってるルッチと自分たちが勝つためにはまずルッチを倒さないといけないことを解ってるルフィの戦いはまだまだ続きます。

これだけの利きはもはや慣れたなどと言えるくらいでなく、パウリーや巨人達やフランキーの手下達のことも気になりながら根底にあるのは「尾田っちならだいじょうぶ!」この信頼は崩れません。


けどね。

けどね。。。

そろそろ崩さないとワンピからもらえる強烈な感動にも皆慣れてきている。
尾田っちが変わるのか変わらないのかは尾田神について行くだけなんですが、フランキーがどう見ても仲間に近い。これはビビの路線なのか?それとも尾田が転身するのかで変わるだろうなぁと思うのです。


ウソップがもう一皮むけてしまった。
まだ仮面の下で仮包茎くらいだったのはむき身を見せてくれるようになったシーンで今回一幕。
自信を得た男は強いよ。
自信を得たナミさんも強いよ。
動けないチョパは今どこなの??

そして今回の鍵がサンジというのは心憎い。おそらくは野郎同士のイベントでやってくれちゃうでしょう。ウソップとサンジとの活躍は朗らかで爽やかに行くから好きだ。


そして・・・
雪走〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!
あっという間に溶けてしまってどうするのやら?
うちの雪走は一晩経って何とか復活しましたけど、ゾロの次の一皮は刀ストーリィですか?
ナミさんがそうでしたからね。
流石ワンピ界の熟練夫婦っ!!婦唱夫随でお願いします。

2006/09/12


銀魂百三十二訓感想

「私と仕事のどっちが大事なのかという女にはジャーマンスプレックス」感想

今回のタイトルはセンスが今ひとつ外れ。というか駄。




悪党を斬るために一人で乗り込んだ。相手先は死にかけてる惚れた女の許嫁。

空知センセーが新撰組をお好きなのは知ってましたけど。土方もお好きなのは知ってましたけど。
本当に「漢の浪漫は痩せ我慢」を地でいくとは思っていなかったんですがね。
それでもこちらがいくら歯がみしても、こうとしか動けない彼らを現すのにコマに一切無駄のないあたりが、逆に今までの下ネタ路線が嘘だろうと思わずにはいられないくらいのホレッぷりを感じるのです。


本当に土方の像を崩せなかったんだろうなぁとつくづく思いました。



自分が元々野犬上がりで腕っ節だけしか脳がないと土方は判ってるんです。
斬るしか能がないって事も。他に出来ることがないって事も。
それを試せる機会がきちまった。ホモとは別の意味でその器のばかでかさに惚れ込んだ近藤さんが一旗揚げにいくとなれば自分が汚れ役を買うつもりになるのはあの二人の関係から行っても自然に思えるんです。
そこで出会ってしまったミツバさん。美人で気だても良くってノリも合ってた。あっという間に惚れてしまったんでしょうね。けど、最初は惚れたなんて判ってなかったとおもいます。
もう憧れに近いの。綺麗に思えて大事にしたくて。天女を見る思いだったんだと思います。
その大切な人の幸せって言うのが普通の女の幸せだと頑なに思いこんでる不器用さだからこうしか土方は動けないんですよね。
鏡を見て自問自答するまでもない、自分はただの汚れ役。頭の先から足下まで血で汚されたような自分などミツバさんのように輝いている人の横には絶対においてはいけない、それは彼女の不幸だという図式は簡単に成立させられるんです。


こいつ真性の「M」だから。

絶対にそうですよ。自分の幸せを一番最後にしないと気が済まない真性の「M」だから。
その為になら嘘だろうが平気でつける、それが土方の美学だから。
目的が一番大事でそのほかは簡単に切り捨てるんですよ。
そちらばかりが表に出て見えるからSにも見えるけど、あいつはそんなんじゃない。

自分の恋心を押し込めて近藤さんのために斬り倒して尽くすのはもはや本能というか快感というか。
だから惚れた女の幸せのためには相手の女性を罵倒しても身を引いて貰ってしまう。
自分にそういう意味での女性を幸せにしてあげる事は決して出来ないと思ってるから。

この辺り誰の意見も、ミツバさんの意見でさえ聞かない自己中心でしかない我欲の強いMなんですよ。



そしておそらくはそう言うトシであることをミツバさんも微妙な部分だけ判ってる。
土方にとって自分を側に置くことが一番大切に出来ない不器用さも判って惚れてる。
そのくせ自分に惹かれてくれてることも判ってる。
これは・・この恋から逃げるのは容易じゃないですよ。

そこで押しかけ女房になるタマだったらきっと長生きできるタイプだったんでしょうけど、ミツバさんも自分の恋心よりも土方の想いを受け入れて通させてしまう。土方の夢は総悟の夢でもあるから。
ミツバさんも武士な女だから。受け身ではあるけれど侍だから我慢してしまう。というかそれしか知らないんですよね。

もし押しかけたらミツバさんは幸せか?といえばきっと彼女を思うあまりにおかしくなる土方を見ていられないと思うんです。側にいればいるほど相手を傷つけて自分を傷つける恋だと言うことも薄々判ってる。だから追いかけられなかった。


当て馬君が悪役で良かった。
土方が心おきなくぶっ飛ばせるから。姉の夢よりも己を優先させてしまった総悟も同じく斬れる。


何が悲しかったって、ミツバさんの最後のモノローグの「私を置いていくんだから」ここに泣きました。
「自分の道を貫いてくださいね」って。土方がミツバさんを置いてその旦那を斬りに行ったのはまさしくその行為。
ミツバさんも結局は最後の消えゆく心の中でやはり想いは土方に帰ってしまうのでしょう。
「きっと きっとよ」重ねられたここに、こんな優しい許しの言葉を受けて土方も、総悟も、真選組は明日を今までと同じように生きていけるんですよ。
本当なら許されないはずのことをした。
近藤さんも、土方も、総悟にもだれもが彼女より優先させたものを持ってて、その後悔から来る傷は深いのに。このモノローグ1ページで彼女はそれを許してしまう。
深い話だと思いますよ。

そして総悟は泣きます。
これは肉親の情から。

そして土方も涙をこぼします。
こうやってしか泣けない男だからこそこうなった結末しかなかった結論に私たちを導いていくのです。



銀さん論

銀さんはいったい?
狂言回しで語り部。読者視点のガイド。

主役だからとかじゃなくって一つは傍観者であること。
そして同じ傍観者でも突っ込まない傍観者であることが大切なんですよ。

柳生編でも言ってましたがあいつらは目的が同じでも考えが違っていれば相手を罵倒してあげつらう仲なのにここでは一切それをしない。
それどころかミツバさんにはこれまで考えられないほど優しい。

銀さんの傷=土方の傷だから。

同じような臑に同じような傷を持つ経験がある大人だから聞かなくても判る。
判るからこそトシが出来ない事=ミツバさんに優しくをしてしまう。
そして沢山の人の死を見てきたからこそ死にゆく人には敏感なのだろうと思います。
死の臭いを感じるから頑なな土方すらもその臨終の席に連れてった。土方は決して会おうとはしなかったのでしょうけれどそれを強制することはしないんです。
そして最後の土方を見届けた。まさかあの男が後を追うか?という考えも含めてこの話の幕引きをを見届けた狂言回し。
マヨラーと甘党が檄辛口のそれを口にするという行為で彼らなりの野辺送りを描いたというのも凄い。
締めの土方の台詞がこれは草履虫さんがおっしゃっていた「つらい」と「からい」に掛けたことばで。
土方のそれは自分への。最後に重ねた銀さんのそれは同じ言葉なのに全員のやるせない想いについて語って結びとなる。

巧すぎるよ!!
だから私はこの話はここで終わりだと思ってます。補完は要らないと。
総悟の苦い思いも。
ミツバさんは結局一生ものの恋をしたことも。
三人が苦い思いをかみしめながら真っ直ぐ道を通してることも。
追加の言葉も想いも皆キャラの中でゆっくりと時を掛けて抱かれていくものだと思います。



近藤さん論

こいつが一番天然で始末に負えないと近藤ファンの中で言えないから(をい!)ここでこっそり言わせていただきます。

一番の悪党じゃねぇか!!
底がないから誰でも引き受ける。引き受けたどころか自由に泳げると感じさせてしまって虜にさせる。器がでかすぎてその中でなら窮屈さを感じないと他では引き取ってもらえない癖のある土方にも沖田にも感じさせて、そのくせでかすぎる器には小回りがきかないから一人にしておけないと面倒を見させて。
普通の人にはただの馬鹿にしか見えなくてもルフィと張る天然ですよ。


けどそういう悪党が一番魅力的だって事は皆が知ってることなんですがね。




土方のらしいところが私にとってもゾロと重なるのだろうと思います。
だから多分私は二人が好きなんだと思いますよ。(こっそり告白)
ただナミさんは自分でも歩いてゆくからゾロと一緒に歩ける。
ミツバさんは身をひいた。この二つの恋の(ゾロナミも恋だと言い切る)差はここだけなのではないでしょうか。

最後につけるタイトルを送りたい
「そして恋だけが残った」



2006/09/12


wj425話『死闘の橋』

無情な連絡だけが画面を支配してゆきます。
最初安堵して高笑いしたフランキーが息をのみ、確認されたはずの50名(含む匹)の事を思います。一時の同乗とはいえ仲間として、目的を同じ物として戦うことを誓った仲間です。
海賊である彼らが一番大切にしている物がただ流れゆく音声に消えてゆくのです。
それは現実世界のニュースが読み上げる死傷者の名前にも似た喪失感。
リアルを感じ無い消失感。


それを思う彼らの表情の重さ。
そして戦うルフィのことを皆が思う。
皆を生かすためにまだ戦っている男を皆信じてる。




けど尾田っちだもん。
これだけあったらきっと皆が助かる道を用意してるんですよ。
海に落ちたメリーがボロボロになりながら彼らを乗せて現れるかもしれない。
死んだ扱いにされているのか?海軍所属だから死者の数に入らないのかCP9のメンバーも瓦礫の下で生きてますよ。
泥沼に見える戦いの中、ルフィがルッチを吹き飛ばすにはきっかけと理由がありますよ。

次の仲間にはフランキー(なんで孵卵器と書くんだ?マイパソ雪走?)説とカク説があることを知りました。

期待が楽しくて楽しくて心を鷲掴みにされながら待ってます。

2006/09/04






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