wj331「大喧嘩」


いよいよの時が来たと思いました。
面白すぎてワクワクが止まらないんですが!

いやーー少年の成長の瞬間は心が泣きたくなるほど切なくて良いです。

特にこの若手二人の喧嘩ですよ。誰とも喧嘩しないだろうとたかをくくられていたウソップの怒りで幕を開けます。
この二人の成長はずっと描かれていなかった。(一番美味しいのはゾロだよね各戦いで持ち上げられているし)女の子達は大人ですからなかなかそう言う機会はないでしょう。


目が覚めたばかりのウソップに対するルフィの説明がいつもらしからぬ行動である背景には、彼とてこの事実に動揺していたのだと思わせる余裕の無さを感じます。説明台詞の羅列、明るい振りでカタログをめくるあたり、普段の彼とは違う。
自分の思いを殺して受け入れきれない事実を他人に説明するには余裕がなさすぎる。
この切迫した幕間が火種になります。
その火種を放つ側の余裕の無さは受ける側にも伝染し、ウソップは受け入れられないメリーの廃船とそしてずっと燻っていた心の内の悩みを爆発させます。「俺はこんな凄い奴らの中にいて良いのか?」金も取られた責任も潰されそうになる。『俺さえ強かったら・・』出航当時仲間の強さを自慢するだけだった少年は成長し、己の中の敵をずっと飼って育てていたのでしょうね。己がその仲間として価値が無いという思いも付けて。
その名を「嫉妬」と言うのでしょう。

余裕の無さは勢いの尽きすぎた言葉の売り買いで展開するのです。
メリーを賭けてウソップ対ルフィの戦いが幕を開けるのです。
買った言葉はどんどん膨らんでナミの制止は届かずようやくサンジのケリで休止出来ただけ。ゾロは相変わらず黙ってみてるけどな。


カクにしらされた船残留組とアイスバーグさんに突かれた正論にぐうの音も出なかったルフィ達と。
皆ゆっくりと反論して抵抗してそして受け入れて心の中でそれぞれがメリーとの別れを一段落済ませて居たのに、ウソップだけがその間取り残されてしまった。この隙間を巧く使ったあたり尾田っちらしい展開だと思いました。

本当に巧い。
巧すぎて興奮させられてしまいます。





少年が成長する起爆剤はこんなに凄い物が必要なのかと思います。

海賊王を目指す船長として今後も仲間を率いてこの海を渡っていくルフィの成長と決意
海賊として己の矜持を賭けてこの海を生きていく為の道を求めるウソップの成長と自我。

どちらも絶対に負けられない。
この敗北は己の根幹に関わり未来の自分を決める大事な戦いなんですよね。

今までの漫画の場合この役はルフィの前を進む者であってエースやお頭、もしくはゾロというのが相場だけどあえてウソップを持ってきた尾田さんに彼の未来も掛かっているなと思いました。
正直言ってこの展開が良ければまた進んでいけるけど転ければこの作品自体が転けるというそれくらいの意味を持っている。そう感じずには居られません。
ラスボス戦よりも大切な戦いです。



今後の展開無責任勝手予想。

『メリーの死と共にこの戦いに決着がつく』
本気の戦闘を繰り返してメリーを破壊するのはウソップのワザによって。ケリを付けるのがルフィでも最後を見送るのはウソップ。
今まで誰も死なないワンピース界にあって始めての仲間の死によって話が展開すると思う。

ウソップが再び仲間になるなら「俺たちもう仲間だろ?」の台詞で再乗船するだろうし下りる時には・・・仲間じゃなくなって下りるんだよな。想像付きません。(すみません)

船大工は・・・どっちでも良くなっちゃうね。

2004/08/02






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